スマホやタブレットの普及で、電子書籍は今や当たり前の存在になりました。でも「なんとなく電子書籍だと頭に入ってこない気がする」と感じたことはありませんか?実はその感覚、科学的に説明が可能です。
この記事では、最新の研究データをもとに「電子書籍と紙の本をどのシーンで使い分けるべきか」を徹底解説します。
紙の本の方が優れているシーン
記憶・読解力は紙の本が上
昭和大学の本間元康講師らの研究チームが2022年に科学誌『Scientific Reports』に発表した研究では、学生34人が紙の本またはスマートフォンで村上春樹の小説の一節を読み、その後の読解・記憶テストを実施しました。結果は次のとおりです。

また2024年の49件の研究を対象にしたメタ分析でも、紙で読んだ学生の方が一貫して読解テストで高いスコアを記録しており、研究者たちはこれを「スクリーン劣性効果(Screen Inferiority Effect)」と呼んでいます。
なぜ紙の方が記憶に残りやすいのか?
昭和大学の研究では、紙の本を読んでいるときの方が「ため息(深呼吸)」の回数が平均3.3回と多く、スマホでは1.8回にとどまりました。深呼吸は脳のリラックス状態(副交感神経優位)のサインであり、脳が情報を深く処理していることを示します。
一方スマホ読書では前頭前野の活動量が上がり、脳が余計な認知的負荷を抱えることで記憶の定着が妨げられると考えられています。
紙の本では、ページの位置・手触り・文章の空間的配置が「記憶の手がかり」になることも分かっています。デジタル画面ではスクロールで構造が失われるため、脳が文章全体の地図を描きにくくなるのです。
目の疲労も紙が有利
電子書籍を読んだ後は、紙の本と比較して目の疲労度が有意に高くなることが研究で示されています。長時間の読書では、この差が集中力や理解度に影響を与えます。
電子書籍が優れていること
とはいえ、電子書籍が一方的に劣っているわけではありません。目的によっては電子書籍の方が優れています。
• 速読・情報収集:深い理解よりも素早く情報をスキャンしたいビジネス書や調査用途では電子書籍が向いています。研究でも「デジタルテキストは速く浅い学習に適している」とされています
• 携帯性・利便性:数百冊を一台のデバイスに収められ、電車の中や出張先でもすぐに読める
• 検索・ハイライト機能:法律書や専門書など、特定の条文・箇所を素早く引きたい場面では圧倒的に便利
• コスト・入手即時性:新刊をすぐに購入・読み始められる
就寝前は特に要注意:睡眠への影響
ハーバード大学医学部の研究チームは、就寝前にバックライト付きの電子書籍を読むと、睡眠ホルモンであるメラトニンの生成が減少し、体内時計が乱れることを示しました。
睡眠不足は記憶の定着に関わる脳の「海馬」に悪影響を与えます。つまり、電子書籍で読んだ内容が記憶に残りにくい理由の一つは、睡眠の質が低下するからというわけです。
シーン別・最適な使い分けガイド
科学的な知見を整理すると、以下のような使い分けが合理的です。

まとめ:目的に応じてハイブリッドに活用しよう
「紙 vs 電子書籍」は、どちらが優れているかという二択の問題ではありません。何のために読むかによって、最適な媒体は変わります。
• 深く理解したい・記憶に残したい内容 → 紙の本
• 素早く情報を引き出したい・外出先で読みたい → 電子書籍
この二つを目的に応じてハイブリッドに使い分けることが、コストパフォーマンスも読書の質も最大化する、科学的に最も合理的な戦略です。
あなたはどちらをメインに使っていますか?ぜひコメントで教えてください。
参考文献:昭和大学「Scientific Reports」掲載論文(2022)、Harvard Medical School 睡眠研究、Oxford Learning 2024年メタ分析レポート
